「少し無理をしても」なんて言葉を聞くと、どのように思いますか?
- トレーニングの時間をつくることが難しいのを無理する
- トレーニングの運動で無理をする
その内容は色々あるかと思いますが、今回は、後者の場合について書いてみたいと思います。
パーソナルトレーニングの場合、パーソナルトレーナーがそう考えているのかお客様がそう考えているのか、両方がそうなのかありますが、パーソナルトレーナーがそのように考えていとしたら問題かと思います。
「無理という言葉を使うパーソナルトレーナーには気をつけましょう」
少しは無理なことをしてもらわないと、「効果」がでないと思っているようなら要注意だと思います。
「無理」と「できる限りの努力」は違う
パーソナルトレーナーの立場からすると、安全を確保した上で、お客さまが最大限の努力が発揮できるようにトレーニングをすすめるのと、無理なことをさせるのは全然違います。
- 無理:物事の道理に合わないこと
- できる限りの努力:その人ができる限界まで力を尽くすこと
この2つの違いに敏感に考えられない人は、人にトレーニングの指導はしてはいけないと思います。無理はするなら自分だけでして欲しいです。(それすら、人に迷惑をかける可能性があるのが、「無理」だと思います。)道理が合わないことをするべきではありません。
無理をさせてしまう(してしまう)背景?
でも、実際には「トレーニングに無理はつきもの」的な、文化?はなくならないようです。その理由をみていくと。
そうしないと効果がないと思っている
トレーニングはできるようになった同じことを繰り返していても効果はでません。ですから少しずつ重さを増やしたり、回数を増やしたり、種目を変えたりする必要があるのは間違いありません。
何を基準にしているのか
たとえば「キツク感じる」という部分のみを基準に、負荷を変化させていると、「無理」してという言葉が出るのではないでしょうか?お客様も、そうしないと効果が出ないと思っているケースも多く、そういう意味では相性がよいのかもしれません。でも、こういう無理をしての向上は、すぐに頭打ちになることを知っていただきたいと思います(その理由はのちほど。)
できる根拠があるから、「努力してください」と言える
経験がないことをおこなうときは不安になります。
「はじめておこなう運動が難しそう」
「重りが重そう」
お客さまが、「少し無理かも」って思うのは当然な心理です。でも、安全を第一に考えできる根拠があって指導をさせていただいているパーソナルトレーナーであれば、頑張ってもできないようなことを、やっていただくことはありません。
1人では超えられないと思っている壁を
トレーニングの強度を上げていく作業は、自分自身では難しい部分があります。こういったご調整を客観的にみてしてくれるところにも、パーソナルトレーニングの価値があるのではないでしょうか?これを言葉の感覚の問題ではと思わないほうがよいです。そのくらい安全には気をつけていますし、できるからおこなっていただいています。
パーソナルトレーナー自身の経験、科学に基づいて
負荷の変化のさせかたには、安全におこなえる目安のようなものがあります。適切なフォームでおこなえていることも大切です。こうした要素を考慮した変化は「無理」とはいいません。現状の負荷では余裕が生まれているので、「負荷をあげる必要がある」という前提で考えています。初めて経験するお客さまは「これは無理」と思っていても、身体は次ぎにすすむ準備ができていると判断しています。だから、無責任ではなく「できる」と確信をもって、「頑張りましょう!」と、声をかけています。
無理することが効果的?安全はその他?
無理が効果のために必要なわけではありません。
「そうした言葉をプロであるならば、使うことはないと思います」
そもそもトレーニングを安全にすすめようという意識がない、少しくらいなにかあるのがあたり前。このように思っているのかもしれません。この場合は、「無理」という言葉が出て当然ですよね。
「無理」で始めると、いろんな意味で続かないと思いませんか?
言葉の意味の通り、トレーニングでおきる可能性があることを考えてみましょう。
適切なフォームでないため。負荷があがれば最初はトレーニングの後に少し腰が痛い、膝が痛いくらいだったのが、無理を通せば怪我につながるでしょう。そこまでいかなくても、その運動で負荷を増やすことが難しくなります。
途中で修正することは、最初に適切なことを覚えるよりむずかしい
重りを挙げるため、キツイ感じがするために無理した結果、怪我や伸び悩みを感じフォームを見直すことにした場合、最初から適切なフォームを覚えるよりも時間がかかる可能性があります。間違った動きに身体が適応してしまっているので、頭も混乱すると思います。実際に、自己流のトレーニングを長くされてきた方などには、こうした理由ですごく苦労をされるケースも少なくないです。
それでも効果が出たというかたへ
他の記事でも書いていますが、トレーニングをはじめた最初のころは、「何をやっても」なんらかの変化はでます。つまり、「そこまで無理してなくても効果はあったかも?」このような発想をしてみてはいかがでしょうか?その方法だから効果が出たという理由にはならないのかと思います。
2~3ヶ月、実はたいしたことをしていないかも?
トレーニング初心者の方が、扱える負荷って幸いにも大きくありません。(あなたがそう感じても)だから怪我をしないで、いまのところすんでいるだけかもしれませんよ。場合によっては食事制限により効果のようなものが出たので短期で2~3ヶ月でトレーニングを終了しているかもしれませんね。これも短期だから結果的に怪我をするような負荷まで向上しなかったということです。
まとめ
時々、耳に入る「トレーニングは少し無理・・・」、について、パーソナルトレーナーの立場として書いてみました。
そのくらいの運動でよいなら、パーソナルトレーナーは不要です
「無理」でやれてしまうような運動ならば、パーソナルトレーナーはいらないと思いますよ。トレーニングで身体痛めて治療機関を紹介してくれるなんていうのも、親切なようで論外だと、個人的には思います。スポーツのため、美容のため、元気に暮らすための身体をつくろうと思い、その手段にトレーニングを選んでいただいた人がトレーニング中に怪我をするなんてことはあってはいけないことです。