今回とりあげるスクワットという運動の注意点、
膝をつま先より前に出さない!
トレーニングに詳しくない方でも雑誌・ネット・TVなどどこかで聞いたことはあるのではないでしょうか?
そして1度は実際にその通りにやってみたという方も多いと思います。
この「膝をつま先より前に出さない」という表現は、メディアだけではなく、スポーツクラブ、ジムでそのような指導を受けられた方もみえるため、これが絶対でスクワットをご自身でおこなっている方のなかにはできているのか分からずに不安になったり、どうやってもできそうになくて諦めた方もいると思います。
「膝をつま先より前に出さない」は本当に必要か?
「膝をつま先より前に出さない」は、本当に適切なフォームで実施するために必要な気に仕方でしょうか?
結論を先に書くと
「膝をつま先より前に出さない」を気にする必要はありません!
気にする必要はありません。
今回の記事の中で以下の順に考えてみます。
- 適切な方法の1つ
- 膝とつま先のような説明の不親切さと問題点
- 運動のやり方に接したときに、不安にならずに情報を自分のものとして活用する考え方。(こちらは別記事に)
スクワットを適切におこなうための方法をシンプルに考えてみる
「膝とつま先」は忘れて、膝に不要な負担をかけない適切なスクワットをおこなうための方法をシンプルに考えてみましょう。
最初に少しお尻を後ろにひく
膝がツマ先の前とか後ろとか気にするのはやめましょう。
横から見たときに気にして欲しいのは膝ではなく、脚を肩幅くらいに左右にひらいたら最初から座ろうとせずに画像のように少しお尻を後ろにつきだし、腰や背中をすっと伸ばしてたままキープしてください。
踵に重心が移ると思います。
重心を踵に保ったままお尻から下へ
お尻を後ろに引いた後は、お尻から座るようなイメージ下へ降りていきます。踵に重心を保てているか感じてください。
そしてあえて書きますと、
この画像の場合、お尻を引くことを気にし”結果的”に膝がつま先より前にでていないと見てください。
このような順番で確実にできていれば、膝に不用な負担をかける悪いスクワットにはなりません。
(読んでその通りにおこなったつもりでもできていないというケースもおこりえます。もしおこなって違和感などが生じてしまった場合は無理しておこなわないでください。そんな時は是非!対面でのパーソナルトレーニングを利用してください)
上の画像では太腿がほぼ床と平行な位置までお尻を下げましたが、最初はお尻を引いて背中と腰を伸ばしたまま(反るのではなく)(上降りることができる範囲からはじめれば問題ありません。
後ろに転んでしまいそうで怖い場合は、イスを後ろに置いたり座ったところから始めるなど順番に進めていきます。
難しい場合はスクワットにこだわらない
スクワットに限りませんが、運動は適切におこなうことで体に良い影響を与えることができます。スクワットの場合は、不適切なフォームでおこなうと膝・腰に不要な負担が生じます。技術的な練習でできるようになれば良いのですが、適切なフォームで実施するために最低限必要な柔軟性・筋力がないとどう頑張ってもイメージしたようにできないかもしれません。
そのような場合は、最初はスクワットに拘らないで出来る運動から始めることのほうが無駄な努力をしないですみます。「スクワット風の運動」であれば誰でも簡単にできますが、適切となると最初からできなくても不思議ではない運動なので、できなくても仕方がないと思っていただいたほうが良いです。
ですから、
- お尻を引くの意味が分からない・引けない人
- 踵に移動が重心ができない・分からない人
- 過度に上半身を前傾したり、腰を反らさないとできない人
このような方は、自力で無理におこなわずに適切な指導ができる方に見ていただいたほうがよいかと思います。
トレーニングの本当の目的はそもそもスクワットではないはずなので
スクワットに限りませんが多くの方がトレーニングする上で運動の種類に拘る理由はありませんよね?
トレーニングをおこなうことの目的は、体力の向上などであって、その手段が運動なのではないでしょうか。ですから運動の種類にこだわらずに適切な運動を選ぶことが大切です。
後半は、参考までになぜ「膝とツマ先」という表現が良くないかです。
「膝とつま先」のような説明の不親切さと問題点
膝に悪いスクワットになっているときに生じることもある「状態」を示しているだけ
不適切なフォームの結果として生じる可能性がある身体の状況を表しているだけだからです。つま先を基準してそれに対して膝が出ないという表現をもちいる理由がわかりません。
膝を視点にいろいろ書かれている背景を推測する
スクワットが適切なフォームでおこなわれていない場合、膝に不要な負担をかけることがあるのは事実です。そうしたことを無くそうとしての今回とりあげる「膝をつま先より~」が広まったと考えられますが、「膝に悪くない」スクワットをおこなうためのアドバイスとしてそもそも適切かを考えてみましょう。
「膝とつま先」のような指示はおこなう人のことを考えたものではないのでは?
この指示には2つの問題があると考えます。
- 身体の部位の長さやバランスなどの個人差を考えていない
- どうやれば良いか(具体的な方法)を知りたい、運動をする人の視点から考えていない
身体の部位ごとの大きさ(長さ)は人によって違う
例えば足のサイズが小さかったら
上の画像の場合、足がもう小さかったら画像のようにお尻を後ろに突き出しても、膝とつま先はぎりぎりくらいになってしまうでしょう。その状況でスクワットをしている本人が上からみて確認すると、つま先より膝がでているように見えると思います。
膝から上(太腿の部分)が長ければ難しく、左右の足幅でも調整できる
膝から上の太腿の部分が長い人はお尻を引くことが、長くない人より膝を基準にすると困難になります。そういった場合に、「膝がつま先より前だから」そのことだけで、その人のフォームをみることは不適切だと思いませんか?また足の左右の幅を変えることで、前後の長さの調整をすることができます。それらを全く無視してとにかく”膝とつま先”というのは、実際におこなう立場の人のことを何も考えていないように思えてしまいます。
できるようになってもらうではなく、何か指導をした気になれる言葉
身体の部位をとりだしてその位置関係で説明することは分かりやすいので便利かもしれません。
でもそれは説明する側の都合のような気がします。
やってはいけないことだけを伝えるのは出来るように伝えることと比べたらある意味すごく簡単です。その指示の内容が具体的であれば簡単に覚えられるし、なんだか説得力もあるのではないでしょうか。
「膝をつま先より前にだすな!」
誰が言い出したのかは知りませんし悪意はないとは思いたいです。
でも「なぜ?」という視点をもたない、指導する側が簡単に注意点のようなものを伝えているという点を満たす以外の価値がない指示だと考えます。指導する側に求められるのは、できていないことの指摘ではなく、できるようになるにはどうするかのハズです。
こんな指示には振り回される必要はありません!
まとめ
いろいろなところで目にする運動の方法は、本当にできるようになって欲しいという視点が欠落していると思える場合があります。運動の方法を他の人に対面ではなく伝えるのは非常に難しいことです。(このブログではパーソナルトレーニングを受けようと考えている人の全ての方に運動の方法をリスクなく伝えることは、私はできないと考えているので運動の方法について触れることは今後もありません。
名古屋市昭和区・瑞穂区桜山パーソナルトレーニングスタジオGlimSC
パーソナルトレーナー:オザワ