昭和世代にとって体重計は文字通り体重を計る機器だったのですが、平成に入ると家庭用の体重計からスポーツクラブや医療機関などにある機器まで、体重と同時に体脂肪率も簡単に測定が出来るようになりました。昭和世代以外は物心がついた時から一緒に測れるのが当たり前ですよね?
阿部寛さんが「意外なこととして体脂肪率が20位ある」という話題も
数日前にも阿部寛さんが舞台挨拶の中で「意外なこととして体脂肪率が20位ある」という記事をネットで見ましたが、一般の人が簡単に測れるようになり体脂肪率という言葉が一般化したからか、スポーツ選手や芸能人の体脂肪率の話題もよく見るようになりました。
ただ、簡単に測れるようにはなる過程で測定された体脂肪率の数字の取り扱いについてちゃんと教えてもらうことがないまま一般化してしまい、結果として測れるようになったことでマイナス面の影響があるようにみえます。
スポーツ選手や芸能人の話題への一般の方のコメントをみたり、パーソナルトレーナーとしてダイエットに限らずトレーニングの成果を確かめるためにこれらの機器で測った数字に、一喜一憂するなど過度に振り回されているようにみえる場面にパーソナルトレーナーをしていると立ち会う経験をしているからです。
気にしないようにとは言いませんが、測定した数字を適切に使えるようにあらためて体脂肪率についておさらいをしてみましょう。
体組成計はどのような方法で体脂肪率を測っているのか?
体に微弱な電気を流して、筋肉と脂肪の電気の通りやすさ(抵抗)の違いがあることを利用して測定をしています。
脂肪=電気が通りにくい
筋肉=電気が通りやすい
つまり、筋肉量が多ければ体として電気が通りやすく、脂肪が多いと電気が通りにくくなります。
この通りやすさの違いは、筋肉が脂肪よりも水分を多く含んでいるからです。
難しいことは分からなくても
濡れた手でスイッチを触ると危ない!
と言われた経験はありますよね。
あれは乾いた手ではなく濡れた手やその手からスイッチに水がつくことで、感電や電気が流れ過ぎて機器が壊れる可能性があるからです。
脂肪の量を直接はかるのではなく、測定された体脂肪率はあくまで推定
同じ機器で測れる体重は実際の数字ですが、体脂肪については体の中の脂肪の重さを実際に測ってそれを体重から計算しているわけでなく、電気の通りやすさから推定した体脂肪率を測っています。
下の画像はタニタの体重計に張ってあるラベルです |
![]() 赤の囲みの中に推定値と書いてありますね。 |
このラベルに書いてあるように実際に測っているのは体脂肪や筋肉の量ではなく、電気の通りやすさを測っているわけです。推定とはいえ、どのメーカーも出来るだけ正確に測れるように考えられているかもしれませんが、電気の通りやすさを使っているための限界があります。
体内の水分量や皮膚の乾燥など変化するのが当たり前の要素に左右される
電気の通りやすさは、体内の水分量が変化や測定する装置に触れる皮膚の状態で筋肉や脂肪の実際の量の変化とは関係なく変わってしまいます。一時的に脱水のような状態や皮膚が乾燥していると、基準となる状態よりも電気が通りにくくなります。
電気が通りにくい状態=体脂肪率が表示される
体内の水分量の変化は特殊なことではなく、普通に生活をしている1日の中で変化があって当たり前の要素です。
つまりその位、1日の中でも変動する不安定なものを測って推定をしているために、数値がブレるのは当然のことです。
気にするなら「なるべく同じ条件で測る」そして数字はあくまで目安の1つ
体重計で測った体脂肪率を気にするのであれば、以下の点を押さえましょう
- 測定はなるべく同じ条件で
- 測定した数字はあくまで目安の1つ
この2つを抑えて上手に使いましょう。
測定はなるべく同じ条件で
同じ時刻で他の条件もなるべく揃えて測るようにしましょう。
とはいえ、前後の食事や水分の摂取量、発汗や活動量を全く同じにすることは困難です。
条件を揃えても、日によって多少の変動があっても1回、1回で見るのではなく、週や月などの範囲での変化を見るようにしましょう。
測定した数字はあくまで目安の1つ
体重計で測った体脂肪率はそもそも推定された数字です。
そして筋肉の量(脂肪の量)を判断する基準は体脂肪計以外にもありますよね?
目に見える変化や機能的な向上など他の要素と含めて、総合的に見るようにしましょう。
技術が進むほど、機器に振り回されるのではなく適切に使うことを考えたいですね!